アメリカに住んでいたら招待されるかも?【ユダヤ教赤ちゃん行事:Bris】

こんにちは。アメリカ在住一児の母のさっこです。
今回は、赤ちゃんのお祝い事シリーズ第4弾、『ユダヤ教行事:Bris(ブリス)』について書いていきたいと思います。
⇨ 第3弾:アメリカ在住でも、できる範囲で無理なく楽しく赤ちゃんのお食い初め
「ユダヤ教じゃないから、関係ないし。。。」と、ページを閉じようとしているあなた。
ちょっと待ってください。
アメリカに住んでいると、宗教行事に招待されることが度々あります。ですから、ユダヤ教のお祝い事について知っておいても損はないはず。
そのまま、そのまま。
そのまま読んでください。
もくじ
はじめに
2017年9月、我が家に待望の男の子が誕生しました。
神道家/仏教徒の母親とユダヤ教徒の父親を持つ息子くんには、個人個人が持つ宗教観を尊重する心を持って欲しいと願い、お祝い事や季節の行事の他に宗教行事も大切にしています。
ユダヤ法では、父親がユダヤ人でも母親が非ユダヤ人の場合、子どもはユダヤ人ではないと定められていますが、生殖補助医療が発達した現在では、宗派によってユダヤ人だと認められる場合もあります。
ですので、ユダヤ教徒でユダヤ人の父親を持つ息子くんには、『ユダヤ教行事:Bris』を行うことにしました。
『ユダヤ教行事:Bris』とは
『Bris』とは、ユダヤ教の神とアブラハム(ユダヤ教の先祖)との契約を守る儀式のことを言います。具体的には、契約を守る印として、生後8日目に男子の性器の包皮を切り取る割礼の儀式を受けます。
割礼の儀式はユダヤ教徒の印ですから、ユダヤ教徒の家族にとって、とても大切なお祝いの日です。
⇨ 合わせて読んでほしい記事『Circumcision?サーカムシジョン?アメリカで赤ちゃんに割礼』
『ユダヤ教行事:Bris』って、具体的に何をするの?
非ユダヤ教徒の私が、調べられる範囲での説明になりますので、その点をご了承ください。
Mohel(モヘール)と連絡を取る
Mohelとは、ユダヤ教徒でユダヤ人の割礼に精通した専門家です。
私たちがこだわったポイントは、Mohelが小児外科医であること。
神聖な儀式であるとはいえ、割礼は外科手術です。万が一にでも息子くんの男性器が不能になろうものならば、後悔しても後悔しきれません。
ですので、割礼に精通した専門家でなければ、Brisは行わせないと決めていました。
幸いにも、ユダヤ教コミュニティからの情報で、すぐに小児外科医であるMohelが見つかり、打診したところ、お昼休憩の時間帯であれば、いつでも儀式ができるというお返事をいただきました。
お客様を招待する
ここに大きな問題がありました。
『Bris』は、生後8日目に行うものだと決まっています。前後にずらすことは出来ません。そして、ユダヤ教徒の家族にとって、とても大切なお祝いの日ですので、盛大にお祝いしたいと思う家族が多いのです。
しかし、赤ちゃんは予定通りに生まれるわけではないので、『生後8日目にBrisを行いますので、ご出席ください。』と案内を出しても、出欠の有無はとりにくいのです。
ですから、参加者数を想像して、会場やお料理の準備をしなければなりません。
更に、儀式の中では、お祈りをする役割があるお客様が数名います。その方々には、是が非でもご出席いただきたいのですが、それが叶わなかった時のプランBも考えておかなければいけません。
Brisに招待されたら。。。
第一次案内を受けたら、参加できる可能性があるかどうかをお伝えください。
赤ちゃんが無事に誕生すると、改めてご案内があります。ユダヤ教徒の家族にとって、とても大切なお祝いの日ですので、日程が調整できると、本当に感謝されます。
特別な決まりごとはないのですが、赤ちゃんへのお祝いを持参される方が多いです。出産祝いを考えているのであれば、この時に持っていくことをオススメします。
さっこ
儀式当日
出席者
儀式には、生後8日目の赤ちゃんと親、Mohel、Godparent、Grandparent、Kiddushする人、Hamotsiする人という役割の方々と招待されたお客様が出席します。
Mohel(モヘール):ユダヤ教徒でユダヤ人の割礼に精通した専門家
Godparent(ゴッドペアレント):第2の親のような存在
Grandparent(グランドペアレント):おじいちゃん/おばあちゃん
Kiddush(キドゥーシュ)をする人:ぶどう酒を飲むときにする特別なお祈りをする人
Hamotsi(ハモツィ)をする人:パンを食べるときにする特別なお祈りをする人
儀式の大まかな流れ
1、親、おじいちゃん/おばあちゃん、ゴッドペアレントがそれぞれ神様にお祈りをする
2、赤ちゃんは、ゴッドファザーに抱えられて、割礼をする部屋へ行く
3、モヘールが割礼を行う
4、親が再びお祈りをする
5、ぶどう酒を飲む
6、ヘブライ語の名前を発表する
7、パンを食べる
ヘブライ語の名前は、亡くなられている家族の名前をいただくのが伝統です。その名前を使うことで、亡くなられている方を偲ぶという意味合いがあるそうです。
私たちが名前をいただくことにしたのは、息子くんが生まれる1ヶ月前に亡くなった私たち家族の愛犬『Diesel』です。Mohelに確認したら、犬でも構わないということだったので、彼の名前に決めました。
出席された皆さんは犬の名前だったので驚いていましたが、『Diesel』は、私にとって、アメリカで最初にできた友達でした。英語が全くダメだった私を癒してくれたのは彼でしたし、がんの治療で家にこもりがちだった私を外に連れ出して、元気をくれたのも彼でした。
こんなにも大きな存在の愛犬から名前をいただくことには、大変意味があります。
息子くんがもう少し大きくなったら、『Diesel』との思い出をたくさん話したいな〜と思っています。
さっこ
抗がん剤治療中の私と愛犬『 Diesel』
会食
心のこも ったご馳走が宗教的な境地を高めると考えられているので、食べきれない量の料理が振る舞われます。
おわりに
我が家では、『命名式』との抱き合わせで行いました。お客様は、日本の厳かな雰囲気の『命名式』にも興味津々。『命名式』と『Bris』の抱き合わせが、参加者全員にとって初めての経験だったので、皆様には大変喜ばれました。
生後8日目の息子くんのことは、雑菌や強過ぎる刺激から守りたかったので、儀式以外の時間は別室で過ごさせました。
赤ちゃんを出産されたママ達にとってこのタイミングは、産褥期と呼ばれる特別に疲弊している時期です。ですから、身体を休める場所を確保しておくことも大切です。体調と相談しながら、自分達に合った方法で、無理なく楽しくお祝いできるといいですね。
⇨ 合わせて読んでほしい記事1:『アメリカに住んでいても赤ちゃんの人生初お祝い事はお七夜・命名式』
⇨合わせて読んでほしい記事2:『Circumcision?サーカムシジョン?アメリカで赤ちゃんに割礼』